その他、工作の容易化、
機械的信頼性の確保が求められた。

B-29撃墜を目標に掲げ高高度、
高速性能を実現するため、
大出力の排気タービン付きエンジンや
気密室等の高高度装備を搭載したため、
総重量7tに及ぶ大型機となった。

主翼には
長谷川技師の独自研究による
層流翼型「TH翼」を採用。

気密室は直径1m。

長さ1.5m程度の円筒形で
前部風防と一体になったものが
胴体内に組み込まれている。

排気タービンの位置は、
胴体下面にバランスよく配した。
武装は30mmと20mm機関砲
各2門を翼内に搭載。

高空での安定性を確保し、
射撃精度を高めるために、
胴体の形状を上から見て細く
横から見て太い縦長にし、
垂直尾翼も
背の高い大面積の物を使用した。

他にも排気管の余熱を利用した、
機関砲凍結防止の暖房も備え、
立川が持つ高高度機の経験を
活用した設計がなされた。

「キ94Ⅱ」計画値(昭和20年4月)

形式:低翼・単葉・引込脚
乗員:1名
全長:12.00m
全幅:14.00m
全高:4.65m
主翼面積:28.0㎡
全備重量:6450kg

動力:ハ-44-12ル
空冷複列星型18気筒エンジン

離昇出力:2500HP

プロペラ:4翅ぺ32
ラチエ電気式低速プロペラ

最大速度:
712km/h/高度12000m

実用上昇度:14100m

上昇力:10.000m/17’38”

武装:
ホ5 20mm機関砲×2(200発)
ホⅠ55-Ⅱ 30mm機関砲×2(100発)

「キ94」の最大の特長は、
排気ガスタービンの艤装方法で
「キ87」が機首付近の側面に
装備したのに対し、
「キ94」は排気ガスタービンを胴体下
操縦席の下あたりに持ってきた。

この方式は複雑な配管が不要で、
エンジンから3.7mの距離にあるため
いくらかでも排気温度が下がり
タービンの加熱を防ぐことができる。

アメリカのP47サンダーボルトも
この形式を採用している。

主翼はアスペクト比を大きくとり
高空性能に寄与しているが、
なによりこの機体の平面形を
美しく見せている。

地上試験、重量重心測定も
予想以上の好成績をおさめ、
初飛行を待つばかりとなった。

1945年(昭和20年)8月14日には、
試作二号機もほとんど完成し、
飛行場に運ぶため
機体の本塗装を開始していた。

そして翌日、運命の時を迎えた。

「八月十五日、
終戦のラジオを聞いた時は
終戦の悲しみよりも、
むしろ94が最後の瞬間において、
大空に飛び立つチャンスを
永久に失った悲しみに
自分を支えきれなかった。」

と長谷川技師は述べている。
(「航空ファン」昭和50年10月号)