教室が静まり返った
特攻隊の遺書とは

以前、産経新聞に
特攻隊の授業をした学校を取り上げていた。

高知市立南海中学高の
1年担任の川村真弘教諭は、
道徳の授業で生徒に
「特攻隊の遺書」を読み聞かせた。

すると、いつもはざわつく教室が、
静まり返った。

「素子(もとこ)、
素子は私の顔をよく見て笑いましたよ。
私の腕の中で眠りもしたし、
またお風呂に入ったこともありました。

素子という名前は私がつけたのです。
素直な、心の優しい、
思いやりの深い人になるようにと思って、
お父様が考えたのです。

私はお前が大きくなって、
立派な花嫁さんになって、
幸せになったのを見届けたいのですが、
もしお前が私を見知らぬまま死んでしまっても、
決して悲しんではなりません。

お前が大きくなって父に会いたい時は
九段(靖国神社)へいらっしゃい。
そして心に深く念じれば、
必ずお父様のお顔が
お前の心の中に浮かびますよ。

追伸、

素子が生まれた時、おもちゃにしていた人形は、
お父さんが頂いて
自分の飛行機に、お守りにして居ります。

だから素子はお父さんと一緒にいたわけです。
素子が知らずにいると困りますから
教へて上げます」

特攻隊員だった植村真久大尉(享年25)が
生後間もない娘にあてた遺書である。

植村大尉は昭和19年10月に出撃して、
フィリピン沖で戦死した。

中学校の教諭は生徒にこう聞いた。

「みなさんが素子さんなら
亡くなったお父さんにどんな手紙を書きますか?」

自分を生んでくれた親に感謝することは
道徳の基本である。

「親の子に対する無償の愛に気付かせたかった」

授業の冒頭では

「親はウザい」「口うるさい」

と発言していた生徒達からは、

「家族愛ってすごいんだなと感じた」
「強い思いで
自分を育ててくれていることが分かった」

といった感想があがった。

(実際の画像)

適切なやり方の道徳授業は
「いじめをするな」と100万回言うよりも
効果がある。

父が散華してから22年目の昭和42年3月、
素子さんは父と同じ立教大学を卒業された。

そして、4月22日、素子さんは
靖國の社に鎮まる父の御霊に
自分の成長を報告し、
母親や家族、友人、父の戦友達が見守る中、
文金高島田の振袖姿で
日本舞踊「桜変奏曲」を奉納した。

舞い終わり、友達から花束を受け取った素子さんは

「お父様との約束を果たせたような気持ちで嬉しい」

と言葉少なに語ったと言う。