天皇陛下が海外でどのような扱いをされているか知っていますか?

今回は、
海外の要人が日本の天皇というものをどう思っているのかが分かるお話をご紹介させて頂きます。

元朝日新聞記者で週刊朝日編集長も務めた川村二郎氏が「正論」で語った内容です。

1974年、オイルショックに見舞われ、
日本人がトイレットペーパーを求めて走り回った時のこと。

大産油国サウジアラビアのアマハド・ザキ・ヤマニ産油相が来日しました。

サウジアラビアの王族の一員で、
(川村氏によると)甘いマスクの持ち主だったようです。

彼はサウジアラビアの石油相であるばかりでなく、
中東の産油国を代表する存在でした。

当時、社会部記者だった川村氏は、
日本滞在中のヤマニ石油相に「密着」して記事を書くことを命ぜられていました。

日本で「石油の一滴は血の一滴」と言われた時期です。

日本の政治家も、
ヤマニ石油相に土下座をせんばかりに卑屈な態度を取っていました。

川村氏はそれを、
同じ日本人として腹立たしい思いで見ていたそうです。

そのヤマニ石油相が来日中、
皇居を表敬訪問しました。

川村氏は朝早くから皇居に行き石油相の到着を待っていました。

車から降り立った石油相は第一級礼装で、
頭には金色の輪をはめた、民族衣装を纏っていました。

川村氏が見ると、
皇居を前にした石油相は、
手が小刻みに震えていました。

ヤマニ石油相は表敬訪問に際し、
日本の天皇がどういうものか、
一通りのレクチャーを受けていたはずです。

レクチャーの詳しい内容は分かりませんが、
川村氏にはおおよその見当はつきました。

石油相は、
日本の朝廷が自分たちに王族よりはるかに長い歴史を持つことに、
畏怖の念を持ったに違いなく、
それが手の震えに繋がったのだろうと。

石油相が昭和天皇の表敬訪問を終えて皇居を後にしたのを見届けた川村氏は、
宮内庁の顔見知りに、
昭和天皇にお会いした時の石油相はどんな様子だったのかを聞きました。

すると、こういう返事だったそうです

「陛下は何回かお言葉をかけられました。けれどヤマニ石油相は何もおっしゃいませんでした。緊張されていたからだと思います」

川村氏はそれから、
天皇陛下について語る時、決まってヤマニ石油相の話をすることにしているそうです。

天皇陛下の持つ威厳や権威を分かってもらうのに、
これ以上分かりやすい話はそうそうないからだと。

昭和天皇に謁見した際に緊張したという外国人の逸話は他にも残されていますが、

中でも有名なのはアメリカのフォード大統領でしょう。

ウォーターゲート事件が原因となってニクソン大統領が辞任した際、
大統領に昇格した人です。

1974年(偶然ですがヤマニ石油相の訪日と同じ年)、
現職のアメリカ大統領として初めて日本を公式訪問し、
昭和天皇と謁見しました。

この時、
フォード大統領は緊張で足が震えたそうで、
後日、このように述べています。

「人生でこれ以上の緊張をこれまで体験したことはない」

フォード大統領は宮中晩餐会が終わった後、
緊張をほぐすために迎賓館で遅い時間までお酒を飲んでいたそうです。

ちなみに、
翌1975年には昭和天皇と香淳皇后が訪米されています。

両陛下がお泊まりだったホワイトハウスの向かい側にある迎賓館「ブレアハウス」をフォード大統領が訪ねて、
予定時間よりも長く歓談されました。

両陛下は翌日にアメリカの国民的スポーツであるアメリカン・フットボールをご覧になる予定だったので、
そこでフットボール談義をなさったそうです。

フォード大統領が

「スポーツのゲームを(大統領として)観覧します時には、どちらかのチームを応援することが出来なので困ります」

と申し上げたところ、
昭和天皇がすかさずこう答えられたそうです。

「とくに明日、あなたが出場されていたら、困りますね」

昭和天皇はフォード大統領が学生時代にアメリカン・フットボールの名選手として鳴らしていたことを、
知っておられたのです。

(写真はホワイトハウスで挙行された晩餐会に向かわれる両陛下とフォード大統領夫妻。大統領はやはり緊張していたようで右手と右足が同時に出る歩き方をしています)

話は戻りますが、
元朝日の河村二郎氏は天皇陛下についてもう一つこんな話をしています。

川村氏は仕事柄、
日本の様々な伝統工芸の名人、上手と言われる人に会ってきました。

木工、金工、象嵌(ぞうがん)、陶芸、染織、織物など、
ありとあらゆる分野に至りますが、
その人たちは、
口にこそ出しませんが、
心の中で、こう思って日々精進しているそうです。

「私のお作りしたものが、いつか陛下のお目に止まり、お使いいただけたら」

天皇陛下は日本の象徴であるだけでなく、日本の伝統文化の最高最大のパトロン(支援者)である。

このことを忘れてはいけないと川村氏は語っています。

世界中で名の知られている各国の主要な要人でさえも、
手や足が震えざるを得ないほどに緊張してしまうほどの、
とてつもない権威を持っている世界で唯一の存在。

それが、

天皇陛下なのです。