第1章:米国の今後と反トランプが未だ続く理由

ムニューチン財務長官もウォール街出身

トランプ新政権の主要な政策発言

安全保障の問題について 中国の冒険主義を挫くため、海軍の軍艦を350隻(現在は276隻)に増強する
海外の米軍基地は撤退させる。それが嫌なら在外米軍の駐留費を負担せよ
アメリカは日本を守る義務があるのに、日本にはアメリカを守る義務がない。この不公平を是正する

海外での米軍の活動を縮小する一方で、海軍を増強して海洋国家として復権を果たし、中国の覇権主義を封じ込める。

移民・難民の受け入れについ メキシコとの国境に万里の長城をつくり、不法移民を入れさせない
国内の不法移民は追い出す
シリア難民は受け入れない

移民や難民が国内に犯罪を持ち込み、アメリカ人の雇用を奪うとして、反移民・反難民の姿勢を明確にしている。これまで”移民国家”と呼ばれてきたアメリカの、いわば建国の精神を完全に否定しようとしているかにみえる。

経済や貿易の政策について

TPPには署名しない。NAFTAも、メキシコ、カナダと再交渉する
中国の人民元安をやめさせる。中国からの輸入品には関税を最大45%にまで引き上げる
法人税の最高税率を現行の35%から15%に引き上げ、海外に移転した企業をアメリカに呼び戻す
低所得者の税金を免除する

自由貿易を否定し、保護主義に回帰することで、極限まで広がった経済格差を縮小し、アメリカ人の雇用と所得を回復させようとしている。

こうした政策をトランプ大統領はどこまで本気で遂行するつもりなのか?

  • トランプ大統領の掲げる政策はグローバリズム(国際主義)こそ正義」とされてきたアメリカで、「反グローバリズム」を公然と掲げ、第2次世界大戦後、アメリカを陰から支配してきたエスタブリッシュメント(支配階級)層に反旗を翻すもの。
    ※エスタブリッシュメント層とは、ウォールストリート(世界金融の中心の1つ)に巣くう国際金融資本や、外交・軍事に隠然たる影響をもつネオコン(ネオコンサバティズム:新保守主義)と呼ばれる勢力
  • トランプ大統領があくまでもエスタブリッシュメントの核心的条件を呑まない場合は、暗殺の危機にさらされるリスクもある。
  • 最終的なカギはペンス副大統領がエスタブリッシュメントの条件に従うかどうか
  • 彼らが本気でこれらの政策に取り組むかを見極めるには、財務長官、国防長官、国務長官にどんな人物を選んだかに注目する必要がある。
スティーブン・ムニューチン財務長官

まず財務長官ですが、ゴールドマン・サックス幹部のスティーブン・ムニューチンが就任。

国際金融の世界の人物が長官だからといって、トランプ大統領が圧力に屈したと断じる事は出来ない。アメリカの歴代財務長官はみなウォールストリートの住人なので、この線は外せない。もしウォールストリートと無関係な人物をもってきたら、それこそ命の危機さえ及びかねない。

ムニューチン財務長官はもともとヒラリー支持ではあったが、トランプ大統領とは15年来の知り合いで、政策を聞いて納得し、勝利も確信したとしてトランプ陣営の金庫番を努めていた、トランプ大統領が信頼している人物と言って良い。

ウォールストリートの伝統的なグローバリストをもってこなかったというだけで、半歩以上前進と見える。

現場を知る “狂犬” マティス国防長官は戦争に慎重

ジェームズ・マティス国防長官

国防長官に就任したのは、”狂犬”のあだ名をもつ退役海兵隊大将のジェームズ・マティス将軍です。職業軍人が国防長官に選ばれるのは65年ぶり。

マティスはトランプ支持の公開状において、米軍の組織改革を強く訴えていた人物。元軍人は規則によって退役してから7年経過しないと国防長官にはなれません。マティスの場合、退役してから3年しか経っていないので、国防長官に就任するには議会の承認が必要になります。

このような障害があるにもかかわらず選んだと言う事は、トランプ大統領はマティス国防長官の提唱する米軍の組織改革を全面的に支持していると見て良い。

元軍人が国防長官になるということは、制服組の復権を意味している。今までは背広組(ネオコン)の国防総省支配もみられていた。(典型的なのは、ブッシュ・ジュニアの時代)

世間では、「軍人は戦争をやりたくて仕方がない」と誤解されているようだが、実際に戦争を起こすのは、たいてい文民である背広組や政治家などである。

トランプ大統領が自ら政策を実行していくうえで、ネオコンの国防長官ではかなり都合が悪く、もしそうなっていれば、トランプ大統領は背後からの圧力に屈し、完全に妥協する所だったが、それは回避された。

ロシア重視を象徴するティラーソン国防長官

レックス・ティラーソン国務長官

アメリカを支配するエスタブリッシュメント層の意志を全てはね除けていたら、政権運営に支障を来しかねないので妥協は仕方がない。

国務長官に就任したのは、米エクソン・モービルの前CEO、エスタブリッシュメントの1人と考えて間違いないレックス・ティラーソンです。

ティラーソン国務長官はロシアのプーチンとの間では良好な関係を築いているようだ。実際に、2013年にはロシア政府から友好勲章を授与されているほど。

エスタブリッシュメントの1人ではあるものの、こういう人物を国務長官に据えたということは、トランプ大統領はロシア重視の姿勢を明確にしたと言えるもの。

ティラーソン国務長官就任についてネオコンの意志を受けて動いていると考えられる人物が批判しているということは、逆にティラーソンには期待出来るのではないか。

トランプ大統領はアメリカを再び偉大な国にする」と宣言しています。

簡単にまとめますと・・

  • 海洋国家としてのアメリカを復権させる。海軍力を増強し、世界の海の覇権をより強固にし、中国の挑戦を撥ねつける
  • 「豊かなアメリカ」を取り戻す。

グローバリズムの果実を得たのはほんの一握りの富裕層だけで、工場の海外移転や移民の流入などによって、一般のアメリカ人はどんどん貧しくなり、貧富の格差が拡大していきてしまった。トランプ大統領は時間のネジを巻き戻す様に、かつて豊かだった頃のアメリカを取り戻そうとしています。

国際金融投機というギャンブルに依存しきった経済が健全であるはずがない。実直にものづくりをする経済へ転換しようとしています。

おそらくトランプ大統領は、自身が子供だった頃のアメリカを夢想しているのではないだろうか。日本の安倍晋三首相が「日本を取り戻す」を宣言したのとどこか似ています。

アメリカにもナショナリスト(愛国主義者)のリーダーが誕生したのです。

ラストベルトの労働者こそ最大の被害者

大統領選の期間中、ABCやCNNなどの主要メディアは世論調査の結果と称し、ずっとヒラリーが優位であるとの情報を流し偏向報道を続けていました。

偏向報道に影響されたヒラリー支持者たちは、トランプを差別主義者であると断じて、トランプ支持者にまでも、差別主義者というレッテルを貼り、侮辱してきました。そのため、トランプ支持者は、公の場でトランプ支持と口に出せないムードが生まれてしまった。

しかし、トランプの生の声を聞いた民衆は、そこに明日のアメリカを見たのです。

選挙期間中にトランプが主張したこととは・・・

  • 「世界の警察」を辞める
  • TPPに加盟しない
  • 企業の海外移転に規制
  • 移民の受け入れを規制
  • 一国平和主義

一国平和主義、保護主義、孤立主義だとメディアからは批判されていますが、

要するに、これは・・・・

反グローバリズム宣言である。

一部の大金持ちが超大金持ちになっただけで、ほとんどのアメリカ国民は以前より貧しくなりました。

アメリカのプアホワイトの賃金は、1973年から1998年にかけて、26%減少している。25年間で4分の3になったようです。これが、グローバリズムの正体です。

ラストベルトとはアメリカの中西部地域と大西洋岸中西部地域の一部に渡るかつての工業地域の事。本来は民主党の地盤ではあるが、グローバリズムの直撃を受けているのもこの一帯である。工場の海外移転で仕事を失った白人労働者の不満が溜まりに溜まっている。

トランプはそこへ反グローバリズムを掲げて切り込み、形勢を逆転させた。

戦争に駆り出されるプアホワイトたちの怒り

プアホワイトが感じていたのは、苦しくなる生活への不安だけではありません。

プアホワイトの家庭から大学に進学しようとすれば、飛び抜けて学業やスポーツが優秀であるケースを除けば、軍に入隊して。奨学金をもらって退役後に大学に入るのが1つのコースになっています。

アメリカでは1973年に徴兵制が停止され、志願兵を採用する制度になっているのだが、毎年15万人の若者を集める為に、大学の奨学金をエサに使い、貧困層や移民の子供たちをかき集めているのが現実です。

オバマ前大統領はすでに「世界の警察をやめる」という方向へ舵を切っていたのだが、ヒラリーは違いました。もし。国際主義者のヒラリーが大統領になっていたら、さらに多くの若者の命が次々と失われ犠牲になっていたであろうと、

馬淵大使の見解が述べられている。

ヒラリーを追い込んだ不透明な「クリントン財団」

まず、選挙に勝利する為に必要な物とは?

優れた政策?

リーダーシップ?

強い意志?

本当に必要なものとは『お金』です。

アメリカ大統領戦を戦うには、莫大な資金が必要になります。近年では、大統領選いに出るには、数億ドルもの資金が必要とされています。

そして、これまでのアメリカ大統領選では、より多くの資金を集めた候補者が、ほぼ間違いなく勝利してきました。ですので、「アメリカ大統領の職は金で買える」とまでいわれてきました。

2016年10月21日の『ロイター』の報道によると、9月末までにヒラリー・クリントンが集めた資金は4億4900万ドル(460億円)に対し、ドナルド・トランプが集めた資金は1億6300万ドル(170億円)だったとされています。

ヒラリーが集めた選挙資金は史上最高と言われていますが、トランプが集めた選挙資金は、近年の大統領選では極めて少ない部類に入る額です。

ここで疑問に思う事は、ヒラリーはこれほどの額をどのようにして集めたのでしょう。富裕層から支持されていたとしても、こんな額を一般の献金でまかなえるはずがない。

ヒラリーは、その資金源について常に黒い噂が絶えない人物です。

クリントン一家が主催する「クリントン財団」は慈善団体を装いながら、クリントン一家の”財布”として使われてきたのです。

以前からヒラリーは、中国マネーにどっぷり浸かっていることでも有名ですが、アメリカで一番お金を持っていて、かつ、政治に影響力を及ぼしたいと思っているのは、やはりウォールストリートです。

大統領選の資金に対しても、戦争の戦費にしても、その背後にはウォールストリートが存在しています。ウォールストリートは、共和党の候補者にも民主党の候補者にも資金を用立てます。一番お金を集めた候補者が大統領になるわけだから、彼らがキングメーカーと言っても良いでしょう。

極端な例では、大統領が戦争の開戦を決断する際にも、自分の意志では決められません。戦争には戦費が必要なので、ウォールストリートの許可が必要です。むしろ、その意志によって戦争が始めるといっても過言ではありません。

アメリカを支配するエスタブリッシュメントとウォールストリートの意志は一体化していると言っても良い。金の力でメディアを牛耳って大衆を支配し、金の力で大統領をも意のままに操ってきたのです。これが公にされていない「アメリカ流民主主義」の不都合な真実です。

カダフィ政権を主導したヒラリーとベンガジ事件

アメリカ政権を操る影の支配者が、おぼろげながら姿を見せたのが、ヒラリーの私用メール使用事件でした。

何故、彼女が国務長官という立場での公務でありながら、国務省のメールではなく、使用メールを使ったのでしょう。

それは、ある意図があったからのようです。

時系列に沿って説明しますと・・・

中東の民主化運動とメディアや欧米政府によって宣伝された「アラブの春」が、リビアに飛び火して、2011年10月20日にリビアの指導者、ムハマル・カダフィ大佐が、反体制派の国民評議会の部隊によって暗殺されました。アメリカはカダフィ派の勢力を制圧するために、この国民評議会に武器や資金を供給していました。アメリカの国務省はカダフィの暗殺でリビアへの工作が終了したので、国民評議会に貸していた武器と金塊を回収しようとして、今度はシリアの反体制派に送ろうとしていました。

ところが2012年9月11日に、リビア東部のベンガジにある米領事館と中央情報局(CIA)の活動拠点がテロリストに襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使とアメリカ人職人3人が殺害される事件が起きました(ベンガジ事件)。実は、このスティーブンス大使はリビア政権転覆計画の責任者で、武器と金塊を回収してシリアへ送る任にありましたが、リビアの過激派に襲撃され、殺されてしまいました。

ヒラリーの使用メールの宛先はこの大使らであり、この謀略を指示していたのが、国務長官だったヒラリーである可能性が極めて高いようです。